デザイナーのキャリアは“主観”でいい──メルペイ×デジタル庁×Gaudiy【イベントレポート】
2023年5月29日(月)に開催された、特別イベント「プロダクトデザイナーのキャリアの広げ方×深め方」。
スタートアップ、デジタル庁など、プロダクトデザインの第一線で経験を積まれてきた3名に、デザイナーのキャリアについてご自身の経験を元にお話しいただきました。そのイベント内容を、長編レポートでお届けします!
うまくいかない状況を、どう乗り越えていくか…? その向き合い方には、デザイナーとして、人として、成長するためのヒントが詰まっていました。
■スピーカー
■モデレーター
音楽、建築…デザイナーになった背景とキャリアの始まり
TORAJIRO:まずはじめに、デザイナーになった背景や、キャリアの始まりについて伺っていければと思います。naricoさんからいかがですか?
narico:私は5歳から20年間、音楽を極めたのちに、25歳でIT業界に転身しています。
なぜ音楽家から転向したかというと、シンプルに音楽では食べていけなかったから。自分の人生を安定させるための方法として、成長しているIT業界に身を移し、ゼロからデザインを学び始めました。
きっかけは、大学職員をしていた頃に触ったFlashですね。全国にいる学生さんたちに教材を配信したくて、Flashを勉強しました。プログラミングもグラフィックも必要なツールだったのですが、 一通りそれを経験した中で、自分はプログラミングじゃないなと感じて。テーマにしたことを生み出すのは、音楽にも通ずるところがあったので、自然とデザインの方を選びました。
nobuo:nariさんに聞いてみたかったんですけど、20年もの間、音楽をずっとやってきたわけじゃないですか。時間をかけた分、捨てるのは勇気がいることだったんじゃないかと思っていて、その辺りはどうだったんですか?
narico:それはありましたね。ただ、最後はもう疲れていたというか、これ以上進めないなっていう。学業としての音楽はやればやるほど積み上がるけれど、大衆の人たちがどう受け入れるかとか、これを生業とするには音楽を出す手前で色んなことをしなきゃいけない。そういう壁にぶち当たって、逆に捨てたいな、と思っていました。
Jack:音楽を通じて得た経験や学びは、 デザインに繋がったりもしたんですか?
narico:それでいうと、管弦楽法とか音楽にも色々な法律みたいなものがあって、それを理解した上でソリューションを導いてアウトプットするんですね。この思考の流れは、デザインと一緒だなと思っています。例えばiOSのガイドラインを読んだ時に、デザインには最適解があって拡張性もあって、でも必要最小限にとどめなきゃいけないとか、そういう考え方は音楽からデザインにリプレイスできましたね。
nobuo:自分のキャリアの背景を話すと、元々中学くらいの頃から建築家になりたくて。たまたま親がインテリアコーディネーターで模型を作っていたのが当時すごく刺さって、おもしろそうだな、こういう仕事いいなと思い、建築とデザインを両方選択できる大学に入りました。
ただ色々と学んでいくうちに、家を建てるには、防災とか、安全とか、守りの部分をまず学ぶ必要があって、当たり前なんですけどめちゃくちゃ大変だなと感じて。だから、自分が "つくる" という意味での創作活動におけるワクワク感が遠のいてしまったんです。
それから、インダストリアルデザインや、家具・文房具など、色々なデザインをやってみたんですが、そのプロトタイプをフィジカルに作る工程が、自分にはスピード感的にちょっと耐えられなかった。
それでコントローラブルなアウトプットを即座にできる方法にどんどん逃げていって、最終的に、16進数で色をコントロールできるWebに行き着いた。コードを書けばすぐにリリースできるという速さが、自分には一番合っているなと感じて、Webデザイナーになったのがキャリアのスタートでした。
ただ、大学で建築やインダストリアルデザインを勉強したことは、後のキャリアにも影響していて。自分の部屋に置きたいモノをつくりたいと思ってものづくりをスタートしたので、 iOSが登場した時に「ホーム画面は、自分の部屋と同じだな」と思ったんですよね。
僕の感覚では「自分の部屋に何を置きたいか」と「ホーム画面にどのアプリを置きたいか」は、かなり似ているものがあったので、 そのタイミングからGUIやマテリアルデザインを学んで、プロダクトデザインにのめり込んでいったのが、キャリア序盤の意思決定だったかなと思います。
主観・客観のバランスと "自分らしさ"をどう形成するか
narico:今の話で思い出したのが、音大時代、作曲専攻だったんですけど、音楽をつくるときってすべて "主観" で考えるんです。自分がどういう音を作りたいか。
そのままデザイナーに転身したので、最初はものづくりがめちゃくちゃ主観的だったんですよね。 ユーザー視点とか客観視とか言われるたびに、「客観視ってなんだ」「モノを作るのに自分のやりたいことをやっちゃダメなんだ」という衝撃があって、主観から客観に変えていく作業をかなりやっていたなと思い出しました。
nobuo:僕は逆に、主観を求められるのがすごく苦手でしたね。大学の課題でも、課題のテーマ設定をするのが苦手で。例えば、「新しいテレビを作ってください」みたいな漠然とした課題があったときに、条件を追加して、モノを作っていくという工程を、主観で作らないといけないから、辛かったんですよ。とにかく辛かった。
narico:逆ですね。
nobuo:そう。制約がある方が、僕はワクワクするんですよね。
narico:視聴者の方の「結論、主観と客観のどちらがより求められると思いますか」という質問にお答えすると、不思議なことに、一定の領域を超えていくとまた「あなたの主観はなんですか」みたいなことを問われ始めるんですよ。 再度、客観から主観に戻っていくのをすごい苦労して、今はその両刀使いをできるようになってきているって感じですね。
TORAJIRO:この質問に対して、Jackさんはどう思いますか?
Jack:まったく同じ感想を持ちました。私はどちらかというとnobuoさんに近くて、制約があったり、客観的に作る方がワクワクするタイプですね。
デザインってアウトプットがすごく定性的だからこそ、なるべく最大公約数の人たちが "そう思う" ようにデザインを設計するのが仕事なのかなと思うし、そのためには客観や制約が大事なんじゃないかなと思っています。
一方で、「自分らしさってなんだろう」とか、「本当に自分はこれを作りたいんだっけ」と考えることが最近増えてきたんですよね。客観性や制約を意識してきたからこそ、今改めて、主観もちゃんと入れてバランスよく作っていくべきだなと感じていたので、どちらも大事だなと共感しました。
TORAJIRO:その "自分らしさ" って、キャリアを通じてどのように作られていくものなのか気になります。
Jack:私はどちらかというと "らしさ" を表現したいと強く思うようなタイプではないし、自己肯定感も高くない。そういう不器用なところが多いので、一旦、目の前にあるやらなきゃいけないことを、とにかく自分なりに頑張ってきたのが、結果的に "らしさ" を作ってきたのかなと思います。
例えばプロダクトの文言修正であれば、「てにをは」を変えるだけで合格ラインのものを前提から見直して、UXライティングを勉強したり、社内のライターさんに聞いたりして、たとえ求められていなかったとしても「ここまでやったら120点分やった」と自信を持って言えるまでやる。
そんなことを積み上げていった結果、それが "自分らしさ" になっていた気がしていて、当時は必死だったけれど、今振り返るとやってよかったと思いますね。
TORAJIRO:目の前のものに対して、 120%出すであったりとか、向き合い方をもう一歩踏み込んでみるみたいなものの積み重ねが、らしさを作っていくんですね。
非言語的な感覚を大切に。キャリアにおける意思決定の軸
TORAJIRO:よりキャリアの全体像を俯瞰してみると、どんな軸や考えで意思決定をされてきましたか?
Jack:私は "やりたい" を優先してきていますね。よく「努力は夢中には勝てない」って言うと思うんですが、それを結構信じている節があります。
その "やりたい" をベースにした上で、"どうやったらできるか" をセットで考えるのが大事かなと思っていて。自分がワクワクするものを見つけて、それを実行するために周りの人たちと手を組んだり、まず自分がgiveすることで相手からもgiveしてもらえる関係性をつくったり。そうやって "やりたいを実現する" というのが、キャリアの軸になってきたかなと思います。
TORAJIRO:大事ですね。naricoさんも、キャリアの観点でいかがですか?
narico:Jackさんと同じくマインドから話すと、私もすごいマイナス思考なんですよ。 私の上司にあたるCEOからフィードバックを受けた時も、「もう少し、自分のできたことを肯定してあげたら」って言われたんですね。結構、毎回そうで。
この10数年を振り返ってみると、 自分から「こうしたいです」「これができます」「これをやっていきたいです」って胸を張ってきたというよりも、 目の前のミッションに対して、FigmaやSketchに向かって自分の考えを投影し続けて、それをSlackなどで発信し続けるみたいな、ずっと下を向いているようなキャリアだったなと思っていて。
でも、その姿勢や行動を、いつも周りにいる誰かが見てくれていたんですよね。「成澤がいい考えを持ってそうだから、 ちょっと意見聞いてあげたら」みたいに言ってくれる人がいて、「この新規事業をやってみない」とか「このチームに加わってみない」っていうことの繰り返しでここまで来ていて。本当に周りに恵まれたなと思います。
TORAJIRO:nobuoさんもメルカリ時代にnaricoさんと一緒に働いていたと思いますが、客観的にはどう見えていたんですか?
nobuo:基本的に、nariさんはボクサーみたいな人なんですよね。試合前に不安を振り払うように、ひたすらスパーリングをしてるようなイメージがあって。
当時は伝え方もうまい方ではなくて、例えるなら「キャッチボールしよう」と言って、いきなり豪速球を投げてくるみたいな(笑)。ボール自体はめっちゃいいんだけど、誰でも受け取りやすいボールじゃない。だから「強いボールを投げてこいよ」と思っている人からすると、「成澤めっちゃいいの投げるじゃん」って感じだったのかなと思いますね。
narico:その通りです。今もそんなに変わってないです(笑)。
nobuo:僕自身はめちゃくちゃビビリなので、何かしらの意思決定をするときに、大胆な選択肢とかは普通はとらないタイプなんですね。すごく矛盾してることを言うと、 あまり簡単には意思決定しないけれど、意思決定するときには "思いっきり振りきる" みたいなところがあります。デジタル庁に入ったのも、選択肢のなかで触れ幅が一番大きかったから。
ただ、キャリアに関していくつかの選択肢で迷っている人に対して思うのは、そもそも選択肢に上がっている時点で自分の興味範囲に入っているから、どれを選んでも間違いはないということ。僕はそうやって選んでいるところがありますね。
あとは、さっきのJackさんの話につながりますけど、 自分が「いいな」と思う非言語的な部分はめちゃくちゃ大事にしています。結局、感覚的な部分って後付けの説明はできるけど、それを無理に言語化してしまうと陳腐化すると思っていて。言葉は、他者と共通認識を取るためにあると思うので、すごくパーソナルな部分には必ずしも必要ないんじゃないかなと思っています。
うまくいかない状況を切り抜けるとき、人は成長する
Jack:「キャリアに行き詰まったり、価値を発揮できないなと感じていた時期はありましたか」という質問が来ていて、まさに「今です」という話があるので、これに答えてもいいですか?(笑)
実は、このイベントを告知するタイミングでは、UI/UXデザインの統括としてチームを引っ張っていたんですけど、今は「その肩書きがなくなりました」という話がありまして。Gaudiy社では、公平さを重視する文化があって、マネジメントの登用においても「代表選挙」という仕組みで、メンバーからの投票と熟議で決めるという制度があるんですね。
その選挙でモデレーターのTORAJIROくんと戦って、代表を交代することになった時に、「自分は価値を発揮できていたのかな」と自問自答することがありました。
一方で、価値が発揮できていると自分で感じている時ほど、自分自身で学べることって意外と少ないのかなとも思っていて。改めて今、コミュニティのプロダクトデザインをメインにやっているんですけど、マネジメントを経験した上でプレイングをすることで新たに見えるものがあるし、さらに燃えてくる。
なので逆に悩んでる時の方が、色んなことに裸で挑戦ができると思うし、そこで悩み抜いて決めたことって、振り返るといいことばかりなんですよね。
その時に大事なのは、「今、しっかり向き合う」ということを諦めない。ちゃんと自分らしく向き合って、 それでもダメだったら仕方ないし、でも向き合うことで解決できそうなら一歩踏み出してみる。結局その繰り返しで、人生おもしろくなってきたじゃんと思えるのかなと。
nobuo:わかります。僕も、振り返るとだいたいそうなんじゃないかという気がしますし、それこそ今も裸でやっている感じですね。正直、行政のこともわからなかったですし、チームメンバーも専門分野が明確にある人たちが多いので、基本わからない前提で教えてもらっています。
逆に、どうにかすることくらいしかできないので、どうにかすることを頑張るみたいな状況です。なので、どうにか切り抜けなきゃいけない時に一番成長するっていうJackさんの話は、すごく共感しますね。nariさんもそんな感じじゃないですか?メルペイのCPOになって。
narico:この1年は、本当に挫折の毎日で、 誰と話しても「今CPOでしたっけ」とか「CPOっぽいことされてますよね」とか言われましたね。その人たちが意地悪で言ってたわけじゃなくて、私の内面から、自信のなさとか恐怖心とかがにじみ出てしまってたと思うんですよね。
デザインだけでなくプロダクト全体をリードする立場になってから、「コンピューターサイエンスの素養があるPdMたちを抱えるってどういうことだろう」とか「私がそのトップに立つとはどういう意味なんだろう」っていうのを、くそ真面目に考えてしまって。
その中で捨て去っていったのは、"恐怖心" と "恥" ですね。例えばマシンラーニングであれば、「強化学習、 強化なし学習ってなんですか」みたいな基礎から学び直して。すべての職種のマネージャーに「基礎講座をお願いします」と頭を下げて、いろんなことを身につけてきた1年半でした。
そうして"恐怖心"と "恥"を、1つ1つ捨て去っていったことで、「素人かもしれないけど、プロダクトマネジメントでは私はこれを大事にしたいです」とか、そんなコミュニケーションが取れるようになってきたなと思います。
"推進力" とは "遠心力"。デザイナーのキャリアの広げ方
TORAJIRO:恐怖心と恥。なかなか捨て去るのも難しいと思うんですが、どうしてできたのでしょうか?
narico:前任のCPOから1on1で伺った話で「推進力とは、遠心力である」というのがあって。要は、あなたの "軸" は、プロダクトデザインにある。その軸を絶対に曲げることなく、マーケターやプロダクトマネージャー、エンジニアといった人たちの知識、経験を、コミュニケーションを通じてできるだけ身につけていく。
すると、今はデザインを軸にしたデザインの遠心力しかなくても、 それがプロダクトマネジメントの遠心力になり、マシンラーニングの遠心力になり、ゆくゆくはエンジニアリングの遠心力まで広がっていく時がきっと来る。
だから、デザインを軸に、その遠心力をどう広げていきたいか、どの順番で広げていきたいかが、あなたのCPOとしての実績になるし、恐怖心を捨て去っていくことに繋がっていくと思うと話してくれて。そこから素直に、色んな人に「教えてください」って言えるようになりましたね。
TORAJIRO:めちゃくちゃいい話ですね。
narico:今、デザイナーのキャリアも色んな形があると思うので、CPOとしてやっていることについても、少しお話しできればと思うんですけど。
私は今、事業ロードマップのドキュメントを描かせてもらっているのですが、CEOから言われたのが、きちんと図にしたり、文章にしたり、数字とビジュアルを紐付けたりすることによって、より経営の意思疎通も取りやすくなったし、メルカリグループの各カンパニーへの展開や、メンバーにも届けやすくなったと。それは、nariさんらしいCPOとしての推進なんじゃないかと言ってもらえて、今の自信に繋がっているなと思います。
だから、デザイナーが経営サイドに入っていくことは、絶対にできる。これはもう再現性があると思っているので、経営に興味のある人は自信を持って背中を押せますし、私でよければぜひ聞いてくださいって感じですね。
nobuo:僕も今、デジタル庁でやっていることは、一般的にみるとデザインと関係のないことばかりだと思います。ただ、UIを作るみたいな行為としてのデザインはしていないけれど、HOWとしてのデザインはめちゃくちゃ使っています。
具体的にいうと、全員がパフォームできるチームを作ることは、デザインチームという1つのプロダクト開発だと思っているし、 行政という組織の中でそのチームがうまく機能するということは、アプリで言えば1つのフィーチャーだと思うんです。
つまりは、そのチームがグロースすることで組織にもインパクトが出せるし、サービスにもインパクトが出せるから、 僕はチーム自体がプロダクトであり、サービスだと思っていて。
そういう意味では、一般的な感覚で言うとデザインしてないと思われるかもしれないけれど、僕自身は今も変わらずデザインしてると思っています。
これからの時代、デザイナーが活躍するために必要なこと
TORAJIRO:最後に、これからの時代に活躍するデザイナー像をお伺いできればと思うのですが、Jackさんからお願いしてもいいですか?
Jack:AIが出てきて、デザイナーっていう職業はあと何年で奪われるとかいう話もある中で、自分もそこに対する明確な答えを全然持っていなくて。不安を抱えながらも突き進んでるっていうのが正直なところなんですけども。
ただ私が意識しているのは、自分自身が納得できることはなにか? にとことん向き合うこと。キャリア像ってあまり考えないと、給料やポジション、企業のブランドなど、周囲の評価で測っちゃうような気がしていて。 それが結局、恐怖や焦りに繋がってしまうと思うんです。
でも、これからの時代に何が起きるかなんて誰にもわからない。だからこそ、デザイナーという職業がどんどん変化していっても、たとえなくなったとしても、自分が選択してきたことに納得がいっていれば、次の一歩をまた踏み出せるんじゃないかなと思っています。
narico:うん、それに尽きるなと思いました。デザイナーって、アウトプットして評価されるというのが日常化していませんか? 意思決定するとかプランを考えるとかよりも、いつも「どう見られるか」という恐怖とともに生きているような職種なんじゃないかなって。だからこそ、 得られる経験も、他職種よりもっとあるんじゃないかなとも。あとはJackさんに同感です。
TORAJIRO:今の話、nobuoさんはどうですか。
nobuo:僕は、極論なんですけど、そもそも別にデザイナーが活躍しなくてもいいと思っています。デザインの価値が世の中に認知され、浸透している状態になればと思ってデザイナーをしているのであって、デザイナーとしての価値を上げたいわけじゃないんですよね。
デザイナーという職種の価値を上げようとすると、デザイナーしかデザインできなくなってしまう。「デザインの価値をわかってくれない」みたいな話も、ここに起因すると思うので、もっとお互いが溶け合うべきなんじゃないかなと思っています。
それを踏まえて、今デザイナーをしているあなたが、今後も活躍する方法があるとするならば、アウトプットベースで自分の業務を捉えるのをやめることが大事かなと思っていて。
具体的には、デザイン業務の中で自分が好きだと思う部分を、細かく噛み砕いていく。そうすると、UIを作ること自体ではなくて、プロセスのどこかが好きみたいなものが見えてくるはずなので、それをもう少し汎用的に使えるようにする。それは今後もずっと磨き続けられます。
デザインの価値が世の中に浸透するには誰がデザインしたっていいし、自分の仕事を周りの人ができるようにしていった方が社会はどんどん良くなりますよね。だから僕は、そういうことがしたいなと思って、デジタル庁で仕事をしています。
生まれ変わってもプロダクトデザイナーになりたい
TORAJIRO:そろそろ終了時刻になるので、登壇者の御三方からご視聴いただいた方々に向けて、一言いただけたら嬉しいです。
narico:本日はありがとうございました。最後に1つピックアップしたい質問があったので、それに答えさせてください。
これはもう「プロダクトデザイナー」ですね。他に考えられないです。プロデューサーやマーケターも一瞬思い浮かびましたが、 プロダクトデザインは本当に色んなことを集約しているし、遠心力をかけていくには最高の職種だなと思っているので、もう一度プロダクトデザイナーとして生まれ変わりたいです。
nobuo:僕もその質問に乗っからせていただくと、デザイナーという職種というよりは、生きていく上でのマインドセットとして、デザインはすべてに根差していると思っていて。なので、僕はデザイナーじゃなくなってもデザインのことを考えると思うし、その一線をあまり引かずに、仕事や生活に取り入れるのが自然なのかなという気がします。
ある意味「社会人」みたいなものと同じで、「デザインに関わっている人」くらいの位置付けがいいんじゃないかなと。デザイナーとして活躍するかどうかではなく、 自分が好きなことの一つとして、ずっとデザインに関わっていきたいなと思います。
TORAJIRO:ありがとうございます。では最後に、Jackさんお願いします。
Jack:キャリアの歩み方で "やりたい"を大事にしてきたと話したんですが、それは "やりたい" という気持ちだけが、自分が選べることだと思っているからなんですね。例えばデザイナーとしての「一流」があるとしたら、そこには人からの評価や、数値的な成果などの複雑な変数が色々と絡むので、自分では評価できないことだと思うんです。
でも "やりたい"は、ちゃんと考えたり自分に向き合ったりすれば、 なんとか自分の中からひねり出すことができるものだと思っていて。だからこそ、やりたいものに対して諦めないように生きるのが、デザイナーとしてもいいんじゃないかなと自分は思っているので、小さなものでもそれを見つけられたら、皆さん楽しくなるんじゃないかなと思っています。
TORAJIRO:デザイナーのキャリアという普遍的なテーマでしたが、それぞれに違った視点があって、 すごくいい話を聞けました。本日はありがとうございました。(了)
さいごに
各社に興味をもっていただいた方は、ぜひ下記の情報もご参考ください!
Gaudiy(ガウディ)
コーポレートサイト:https://gaudiy.com/
Gaudiy公式note:https://note.gaudiy.com/
メルペイ
コーポレートサイト:https://jp.merpay.com/
デジタル庁
デジタル庁サイト:https://www.digital.go.jp/
デジタル庁 公式note:https://digital-gov.note.jp/