CEOおよびCxOレイヤーをフェアに選ぶ新制度「代表選挙」をリリースしました
「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに掲げるWeb3スタートアップのGaudiyは、「ディベートバトルの蠱毒」「自己申告の給与制度」など、常識に捉われない組織開発をこれまで実行してきました。
今回、Gaudiyが取り組んだのは、CEOおよびCxOレイヤーを集団意思決定でフェアに選ぶ新しい人材登用制度「代表選挙」の開発です。構想から約半年をかけて設計し、2023年5月、第一回としてCEO、代表Dev(≒CTO)、代表Udev(≒CDO)、代表PO(≒CPO)の選挙を行いました。
本noteでは、Gaudiyが「代表選挙」を開発するに至った背景や、制度のコンセプトと概要、第一回選挙の結果についてお伝えします。
1. なぜ私たちは選挙をするに至ったのか?
1-1. 企業の人材登用における"負"を解消したいから
一般的な企業の人材登用は、上位役職者の主観に大きく依存しており、多くの組織で納得感のない人材登用が起きているのが現状です。
「なぜあの人がマネージャーに抜擢されているのか?」という疑問は、多くの人が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
一方で、上位役職者の人たちも、部下の登用に頭を悩ませていると思います。能力や人格などを総合的に判断して、適切な人材登用をしたいけれど、その判断に必要な情報を十分に取得することが極めて難しい。
HRMOS WorkTech研究所の調査によると、人材登用や異動・配置・抜てき等に人事情報・従業員データを活用できている企業は、3割に満たなかったという結果が出ています。
こうした人材登用における"負"は、多くの組織に共通する課題です。この解決の手段を模索し、他社でも使える汎用的なプロトコル(制度)をつくりたかったことが、「代表選挙」を考案した一つめの背景にあります。
1-2. 「ファン国家」を本気でつくるために必要だから
また私たちは、ビジョンである「ファン国家」の実現を本気でめざしています。
このビジョンの実現に向けて、Gaudiyという組織自体が「ファン国家」のように、個々人がビジョンを持ち、お互いがファンとして共創しあえる集団=DAO(自律分散型組織)でありたい。
その想いから、DAO組織を民主的に実現するための手段として「選挙」が重要な機能を果たすのではないか。その選挙から生まれる熱量が、きっとイノベーションにつながっていくと考えました。
2. DAOとは何であって何でないのか
ここでDAOについて補足します。
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語では「自律分散型組織」と訳されることが多いです。
Gaudiyでは、3つのバリュー(価値観)のひとつにDAOがあります。
よくある誤解として、全員で合意形成することがDAOなんでしょ?と思われがちですが、そうではありません。私たちは、以下のように考えています。
Gaudiyの場合、30名規模くらいまでは「フラットなDAO組織」でした。人数が少ないときは、公平性や意思決定の観点で「全員で考え、相談して、決めて、進む」という形が最適だったからです。
そこから、直近の1年で30人→70人規模へと拡大するなかで、「全員の納得感を重視しすぎて物事を進めるのに時間がかかる」「意思決定の場に立ち会えないメンバーにモヤが生じてコミットできない」といった課題が生じ、最終の意思決定者を明確にする必要性が出てきました。
そうした背景から、2022年10月にフラットなDAO組織を卒業し、フェアな合意形成のもとに、責任者と意思決定者を明確にする「民主的なDAO組織」に移行しました。
このアップデートによって、Gaudiyでは、職能チームの代表者(いわゆるCxOレイヤー、以下「職能代表」)を立てるようになりました。
3. 選挙コンセプト:DAOらしい適応性と公平性
代表選挙は、この職能代表を、一定のルールのもとに流動的に変化させるための仕組みです。職能代表だけでなく、CEOも対象になります。
そのコンセプトとしては、DAOらしい「適応性」と「公平性」を持っていること。具体的には、以下を指しています。
【適応性】 ビジョンに向かって変化し続ける
前提として、変化できない組織は環境変化によって崩壊してしまいます。外部・内部の環境変化を捉えながら、代表の人選だけでなく、目標や組織体制を変化させる。その「適応性」を担保すること。
【公平性】 平等ではなく、ビジョンに対して公平である
1人1票の平等な選挙制度は、国籍を自由には選べない国家という前提において必要な制度。Gaudiyは1人1票の多数決に固執するのでなく、ビジョン実現を妨げる意思決定バイアスを最小化する形で「公平性」を担保すること。
これらのコンセプトをもとに、集団意思決定において熟議や投票アルゴリズムを最適に活用していくことで、会社のビジョンに向けて、合理的かつフェアにリーダーを抜擢できるようになる状態をめざして、代表選挙制度を設計しました。
4. 「代表選挙」の概要
代表選挙の制度概要を紹介します。「職能代表選挙」と「CEO選挙」は、有権者や投票プロセスが異なります。
4-1.選挙に出馬する人
CEO推薦…CEOによって推薦された人
民意推薦…職能チーム内の事前投票により、最も票を集めた人
ダークホース枠…他薦により抜擢された人(職能代表と同じ視座で思考して蠱毒を戦うことで、経営目線を養い、組織にいい影響を与えるための抜擢枠)
4-2.有権者
職能代表選挙…代表と同じ職能チームに所属するメンバー(ただし、代表POはプロダクト組織全体の代表でもあるため、 PO/PdMだけでなく、エンジニアやデザイナーも有権者とする)
CEO選挙…職能代表メンバー
4-3. 職能代表選挙のプロセス
有権者投票による民意の可視化
有権者が、候補者の蠱毒(プレゼン発表)の内容、および人の部分をふまえ、最も代表になるべきだと考える人へ投票する
蠱毒内容の評価:思考回数、Gaudiyらしさ、実現可能性、バカなる(一見バカげてみえるが、実は理にかなっていること)の度合い
人の部分:背景にある考え、思いの強さ、実績など、有権者が個人的に代表へ求めたい要素
CEOによる任命
CEOが、蠱毒の内容と投票結果をふまえて、職能代表を任命する
有権者による信任投票
有権者が、STEP2の結果に対して、翌日18時までに信任投票する
信任 or 不信任 を投票する
期待・応援・気になりなどのコメントも添える
信任が過半数を割れた場合は、CEOが説明責任を果たし、信任を得られるまで有権者と対話を繰り返す義務を負う。
4-4. CEO選挙のプロセス
有権者による直接投票
各有権者が、候補者の蠱毒(プレゼン発表)の内容、および人の部分をふまえ、1~3位の順位づけをした投票を行う
蠱毒内容の評価:思考回数、バカなる度、Gaudiyらしさ、実現可能性
人の部分:背景にある考え、思いの強さ、実績など、有権者が個人的にCEOへ求めたい要素
ボルダルールによる勝敗判定
集団的意思決定の1つの手法であるボルダルールに基づき、1位に3点、2位に2点、3位に1点を付与し、合計点が最も高かった候補者を勝者とする
5. 第一回選挙の結果
初選挙を、2023年5月10日、5月31日の2日程で実施しました。
本結果をもって、現在、新体制にて戦略や組織体制の見直しを進めています。Gaudiyは、2023年に複数の大型IPコミュニティのリリースを予定しています。新体制で、よりIPホルダーやエンタメファンにとって価値のあるプロダクト・サービスづくりを目指していきます。
また、代表選挙が事業・プロダクト・組織の強化につながるか、継続的にモニタリングを行い、制度自体のアップデートも続けていきます。