Web3とエンタメで、幸せに生きられるボーダレスな社会を。Gaudiyの新章を切り拓く決意
"沼すぎる夢" に本気で立ち向かう人々に探求の過程を伺い、その根源にある想いを紐解いていくシリーズ「 #この夢は沼すぎる 」。
第一弾は、Gaudiy初の海外現地法人「Gaudiy US Inc.」のCEOに就任した、中島功さん(以下、Isaoさん)に話を伺います。
Gaudiyがビジョンに掲げる「ファン国家」は、国境を越えて “好き” や “夢中” でつながれる社会です。米国拠点の設立は、その定義からして "グローバル" かつ "ボーダレス" な「ファン国家」の実現に向けた、新たな挑戦への序章と言えます。
ソニーでの海外マーケティングや世界各地でのデザインリサーチ、インドでの起業、VCでの米国スタートアップ投資と、世界を舞台にキャリアを積み重ねてきたIsaoさん。
そんなグローバルな視野を持つIsaoさんが、「Gaudiyは日本から世界をより良くすることに挑戦できる稀有なスタートアップ」と語る理由とは。グローバルにこだわる想い、ビジョン実現に向けた覚悟、そして夢を聞きました。
"日本人としての誇り"を胸に、世界をより良くしたい
───Gaudiy初の現地法人「Gaudiy US Inc.」を米国ニューヨーク州に設立し、これからグローバル展開を本格始動させていくと伺いました。グローバル経験の豊富なIsaoさんですが、昔から海外志向が強かったのでしょうか。
そうですね。ずっと憧れはあったと思います。ただ、学生の頃は卒業旅行で台湾に行ったことがあるくらいで、英語も得意ではありませんでした(笑)。
高校生の時、建築家の安藤忠雄さんのドキュメンタリー番組を見てすごく感銘を受けたことをきっかけに、大学と大学院では建築を学びました。安藤忠雄さんって元プロボクサーで、ファイトマネーで世界各国を旅し、国内外のすばらしい建築物を手がけている建築家なんです。その世界を舞台に活躍する姿と、建築のイノベイティブさに惹かれました。
───でも、新卒では建築の道ではなく、ソニーに入社されたんですね。
はい。とても悩んだのですが、本格的に建築家を目指すためには、師匠のもとで武者修行をする慣習があり、親に仕送りをもらいながら働く人も稀ではありませんでした。僕は奨学金で大学に通っていたため、経済的に厳しかったこともあり、最終的にはグローバルでイノベイティブなソニーに入社することに決めました。
───ソニーという選択肢は、どこから生まれたのですか。
もともと親が好きで、昔からソニー製品に囲まれて育ちましたし、僕が初めて買ったPCもソニーのVAIOでした。そのように "SONY" というブランドを無意識に選好してきたなかで、創業エピソードや数々の逸話を知り、すごくかっこいいなと思ったんですよね。
例えば、ニューヨークの一等地でショールームを構えたり、コロンビア・ピクチャーズ社を買収したり。WALKMANが生まれて40年以上経った今も「僕もそれ持ってたよ!」と海外の人々が反応してくれたりする。グローバルでの活躍を目指すなら、日本発で世界中の人々をアッと驚かせるような製品や体験を生み出してきたソニーしかないと考えました。
安藤忠雄さんへの憧れも、ソニーという選択肢も、僕は「日本人としての誇り」が胸にあるのだと思います。日本の魅力を世界へ届けたい。そして、日本から世界をより良くしていきたい。
その想いを軸に、これまでの人生を歩んできました。
グローバルな視野を広げ、海外から日本を見つめ直す
───ソニーでは、どのような仕事をされていましたか。
ソニーには9年ほど在籍し、最初はPCやタブレットなどのITプロダクトを扱う事業部で、東南アジア、中東アフリカの海外マーケティングを担当しました。
サウジアラビア出張では、ジプシー料理屋で食事を床で囲んでラクダ肉を食べたり、エジプト出張では「アラブの春」が勃発して空港に着陸できなくなったり…。日本では遭遇しないような出来事を経験して、世界は広いなと感じましたね。
それからデザインやR&Dを担当するクリエイティブセンターという部署に異動し、「DESIGN VISION」というデザインリサーチプロジェクトでリーダーを務めました。
これは、世界各国でのフィールドリサーチを通じて「未来の兆し」を見つけるプロジェクトです。世界各地の様々な価値観に触れ、自身の視野を大きく広げる機会になりました。
例えば、印象に残っているものの一つに、ボストンにあるBodegaというショップがあります。一見すると、どの街角にもあるような寂れた個人商店のコンビニエンスストアなのですが、店内にあるフェイクの自動販売機が扉となり、その奥にハイエンドなファッションのセレクトショップが整然と広がっていました。そのギャップにとても驚いたことをよく覚えています。
このような事例から、ネット上で見るだけでなく、実際に自分で体感しないとわからない本質があるため、現地に足を運ぶ大切さを感じました。
───ソニーを通じてグローバルへの視野が広がったんですね。海外から日本を見て、どのようなことを感じましたか。
昔と比べて、国際社会における日本のプレゼンスは決して高くはないな、という危機感を持ちました。僕が在籍していた頃はソニーの低迷期だったこともあり、先輩社員から聞いていた「出せば売れる」ような黄金期からすると、勢いは弱まっていたと思います。
一方で、それでもなお「ソニー」と言うと話を聞いてもらえたり、打ち解けやすかったりして、ブランドとしての強さも知れたんですね。これがなければ、僕は海外で戦えなかった。
このようなポジティブ・ネガティブの両面を肌身に感じたからこそ、日本の武器を活かして、グローバルでの日本のプレゼンスを向上させたいと強く思うようになりました。
インドで起業、米国VCを経てWeb3と出会う
───そして、インドで起業した。
自分で事業を立ち上げたいと思い、ソニー退職後、準備期間を経て、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールに渡りました。そして、共通の知人を通じて親交があったインド人の友人と、VRスタートアップを共同創業しました。
当時開発していたのは、仮想空間で簡単にショールームを立ち上げられるプロダクトです。物理的なショールームは建設費用が高く、立地的なハードルもあったため、それを仮想空間で実現できれば日本の製造業がもっと海外に出やすくなるのではないか、という考えから事業アイデアが生まれました。
しかし結局、僕の実力不足や複数の要因が重なって、事業をクローズすることになったんです。そのタイミングで、元々お世話になっていたVCの方から「次はVC側に回ってみないか」とお誘いいただき、VCに転職しました。
───起業家からキャピタリストに転身されたんですね。
はい。日本とアメリカのハードテック・製造業関連のスタートアップに投資する日系VCで、プリンシパルとしてUSスタートアップへの投資を担当しました。
また当時、投資検討の一貫でリサーチしたのが、ブロックチェーン技術でした。元々、インドにPolygonという有名なブロックチェーン企業があったので興味はありましたが、改めて調べるうちに、やはりブロックチェーンは世の中を根本的に変える技術だと確信しました。
特に、ブロックチェーン技術がもたらすトークンエコノミクスに、ものすごく可能性を感じたんです。人々が集まり、運命共同体として熱量の高いコミュニティを形成するためには、ビジョンとインセンティブによる帰属意識が不可欠だと考えています。暗号資産やNFTといったトークンは、コミュニティに求心力をもたらす原動力になると思いました。
それからWeb3にのめり込み、VCを辞め、世界中のWeb3イベントやコミュニティを巡りました。各国のメンバーと交流するなかで印象的だったのは、日本のエンタメが生み出す熱狂です。
どの国を訪れても、「日本から来た」と話すとアニメや漫画の話になって。それはもう、めちゃくちゃ盛り上がるんです。あらゆる国の人が、日本のエンタメに夢中になっている。エンタメの力に改めて驚かされた瞬間でした。
日本発スタートアップが世界に勝負する意義
───それから、Gaudiyとはどのように出会ったのでしょうか。
GaudiyがシリーズBの資金調達をしたタイミングで、CEO石川のカジュアル面談に申し込んだのがきっかけです。Web3やエンタメ、グローバルなどで意気投合しました。「ファン国家」のビジョンを聞いたとき、仮にまた起業するとしたら、Gaudiyと同じようなことをしたいなと思いましたし、社会的な意義の大きさに惹かれましたね。
でも、起業よりGaudiyへの参画を選んだのは、Gaudiyがグローバルにインパクトを与えられるであろう数少ない日本企業だと感じたから。スタートアップは、どのタイミングでどの事業領域を選ぶかが非常に大事だと思っていて、Web3×エンタメで勝負するGaudiyは、タイミングも領域もピッタリだと思いました。
また、創業者の石川はすごくビジョナリーな人間で、彼ならGaudiyのミッションを実現できると思わせてくれる人だったことも大きいです。
ただ「成功したい」「IPOさせてリターンを得たい」それだけの観点であれば、他にいくらでも選択肢はあったと思います。上場でいえば、海外のスタートアップで働くほうが可能性も高い。でも、人生一回きりだから、自分が最も可能性を感じるワクワクする道に進んでいきたいと思いました。
───海外ではなく、日本のスタートアップであることの強みはありますか。
Gaudiyは日本を代表するエンタメ企業とパートナーシップを組んでいますが、日本のスタートアップだからこそ、文化や商習慣の面で企業に深く寄り添うことができると感じています。日本人として世界を良くすることを考えたときに、最も効果的な手段だと思いました。
───日本のスタートアップだからこそ、日本人として世界を良くできる。
僕はそう思います。僕は、日本が世界にプレゼンスを発揮できる領域は、製造業、食、エンタメの3つだと思っていて。ソニーのように、これからの時代も、世界を驚かせるようなものを日本から生み出していきたい。
そのためには、日本の文化や日本人の特性を生かした、得意な分野で勝負するのが一番良いと考えています。そうすることで、世界をより良くできる。Gaudiyはその挑戦ができる、稀有なスタートアップだと思っています。
"好き"というピュアな気持ちは、国籍や人種を超える
───現在のIsaoさんの担当領域を教えてください。
2つの会社の代表をしています。1つは「Gaudiy US Inc.」というニューヨークに立ち上げた米国支社。もう1つが、「Gaudiy Financial Labs」というWeb3時代のあたらしい金融事業を推進する会社です。
───なぜニューヨークに米国法人を設立したんですか。
ニューヨークは「人種のるつぼ」と称されるアメリカの中でも、さまざまな国籍・人種・趣味嗜好の人が集まる場所です。この土地からサービスを展開することで、さまざまな声を収集できますし、世界のトレンドが集積するエンタメの中心地で成功できれば、他の国での成功にも繋がるはずだと考えています。
現在はより多くのグローバルユーザーにサービスを楽しんでいただくための戦略を練り、実行に移そうとしているタイミングです。
───いよいよこれから、というタイミングなんですね。
はい。世界最大級のNFTカンファレンス「NFT NYC. 2024」に先日参加して、日本のエンタメの力を改めて感じました。ブースで目を輝かせて話してくれる人がいたり、ピッチ後に連絡をくださった人もいて、僕らがやっていることは間違ってないな、と再認識しましたね。
Gaudiyが実現しようとしている「ファン国家」は、国境を越えて "好き" や "夢中" でつながれる社会です。そのビジョンを実現するには、グローバルであることは必然です。
僕はたまたま日本に生まれ、日本人として育っている。アメリカの人も、たまたまアメリカに生まれ、アメリカ人として育っている。国籍は選べませんが、好きなことは選べます。
例えば、アメリカのハローキティのファンは、日本人に負けない熱量を持っているんですね。そういう「好き」の気持ちって、すごくピュアなものだと思うんです。
日本発のスタートアップとして、まずは強みのあるエンタメ領域で、日本のIPを対象とした「ファン国家の型」をしっかりとつくりたい。そして、日本やエンタメ領域に留まらない、グローバルな概念としての「ファン国家」を将来的には実現させたいと思います。
ダボス会議でアニメファンのオフ会を開きたい
───最後に、Isaoさんにとって「夢」とはなにか、教えてください。
僕にとっての夢とは、叶わなくてもいいから、人生をかけて追い求めたいと思えるものです。それが人生を豊かなものにしてくれる。
僕は、日本が育んだ文化を全世界に届け、世界中の人たちを今より少し幸せにしたい。その手段の一つとして、世界中のリーダーが集まるダボス会議の傍らで、アニメファンのオフ会を開きたいという夢があります。
以前、シンガポールのビジネスカンファレンスで出会ったカナダ人のスマホケースが、僕の大好きなジョジョのキャラクターだったんです。ビジネスの世界でも、日本のエンタメが好きな人はたくさんいるはずで、ビジネスの真面目な場にエンタメを持ち込むことで、何かおもしろいことが起きるのではないかと。だからダボス会議の参加者からアニメファンを集めて、そのオフ会ができたらすごくいいなと思っています。
───ダボス会議でオフ会、化学反応がおもしろそうです。
「ファン国家」の設立も、ダボス会議で宣言できたら最高ですね。
僕は未熟な人間ですが、そんな僕でもグローバル社会に貢献できることがあるとしたら、Gaudiyの仲間と「ファン国家」を実現することなのではないかと思っていて。
「ファン国家」は、その定義からして、グローバルでありボーダレスです。その実現を追い求めることが、世界を良くすることにつながると強く信じています。
Gaudiyには現在、10ヶ国以上から集まっているグローバルなメンバーがいます。「日本からグローバルへ」というのは僕個人の想いに過ぎず、グローバルを前提とする「ファン国家」のビジョン実現を目指す上では、日本も海外も、そこに境界はありません。
国籍や人種関係なく、世界中の人に使ってもらえるグローバルなサービスを通じて、幸せに、生きがいを持って暮らせる社会をつくっていきたいですね。(了)
おわりに:
Gaudiyでは「ファン国家」の実現をともに目指す仲間を募集しています。興味を持っていただいた方は、ぜひ下記サイトをご覧ください。